差別の向こうへ

聞くだけで

嫌になってくる

 

差別を訴え

特権化している者も

 

個の苦しみを

差別へ一般化し

 

差別自体を

平板にしてしまう者も

 

見下され

忌避され

嫌悪されることを

 

差別と取り違えるのみならず

取り違えようとしている者共

 

差別されたと言えば

相手を攻撃できると思っているのか

 

己の卑屈を

差別に言い換え

 

鬱憤を晴らす

材料にする

 

個が持った負を

抱え続ける重荷に耐えかね

 

世を斬る武器に変える

錬金術を駆使しようが

 

わたしのコンプレックスは

わたしのものであり

 

差別は社会の問題であると

含め置かねばならぬ

 

差別と戦う正義が

美しく見えるならば

 

それはどこか

去私の貴さを匂わせ

 

苦海浄土の如き

共感と距離とが

両立されねばならぬ

 

己の憤懣をぶちまけるだけで

差別問題に立ち向かえるなら

 

人は寄り添おうとはしない

 

それは

どれほど論理を駆使しようが

 

見透かされてしまう感情と

高潔さの問題である