死者への言葉

毎日

いくらでも

人が死んでいるのに

 

一人死んで

なぜ騒ぐのか

 

テレビでは

ご冥福をお祈りしますだの

 

適当な

言葉を並べ

 

見ず知らずの

会ったことがない人まで

 

追悼の念を表明する始末

 

心に正直なら

とりあえずの冥福など

祈れるわけがない

 

人はいくらでも死ぬ

 

命は一つであって

かけがいがなくても

 

同時に遍在し

いくらでも死は転がっている

 

自分にとっての死を思う心を

自分自身が利用して

 

世の中を上手く渡るために

適当な言葉を振りまく日常

 

それは

もはや当たり前であり

 

そんな生き方に

しっぺ返しを食らうなどと

考えもしない

 

冥福を祈られた時

心にもない言葉が飛んできて

 

はじめて気づく