炎天下
蝉しぐれが降り注ぐ路肩
蛇が死んだ
死してまもなく
体に蠢く寄生虫
蛇の中に棲む虫たちが
命消える体から
脱出しようとしていた
近づけば
蛇の想念が
回り舞台に乗って
押し寄せる
かつて胃の腑に入れた
生命の行列
彼を恐怖に陥れた
動物の表象が
次々と
蛇の肉体から放たれ
死してゆく
これからと裏腹に
具象化され
我にぶつかるのだった
汗を垂らし
麦わらの影を
路に落として
見つめるだけで
圧倒されていたのだった