事件が起きて
捕まる犯罪者が個性的
辛く苦しい人生を歩んで
社会で成功した人
罪を犯していても
犯すだけの理由を持つ人
焼跡でパンパンをしていた
癩病で迫害され放浪せざるを得なかった
お涙頂戴で
しかも罪人に同情する話
これが売れた
『ゼロの焦点』も
『砂の器』も
よく売れた
それが戦後という時代だったのだ
貧しさと差別に苦しんだエピソードを
人は涙を流して読んだ
自分たちだって貧しい生活だったろうに
今じゃ売れない小説だろう
もう時代は変わった
苦労したからそれだけ人に優しくできる
そんな気持ちは
苦労して余裕がないから優しくなれない
に変わってしまった
それは仕方がないけれど
優しい気持ちになれる時間は
どこかで持っておかないと・・・