迫りくるもの

前から

ずっと見えている

 

時を経て

近づいてくる

 

私は自由だ

 

だだ広い

何もない空間で

 

思うままに跳ね

描ける

はずだった

 

今でも見えている

だいぶ近くなった

 

分かっている

 

終わりは必ずくる

 

見ないようにしていた

不安を忘れようとしていた

 

最後だけ見ていると

囚われてしまうから

 

今を生きようとしていた

 

だけど

漠然とした不安は消し去れない

 

こいつは

忍び足ですらない

隠れてすらいない

 

堂々として

ゆっくりと

確実に近づいて来やがる

 

小さな不安は

やがて大きくなる

 

終わるのは分かっている

 

今はもう

悟りすました顔をしていられない

 

胸にせり上がる

小さな震え

 

哀願しても意味はない

 

この迫りくる死をどうしよう