ボウイチの旅

かつて

ボウイチは

旅の人であった

 

休みの度

津々浦々

 

世界中を

見て回った

 

名所旧跡はもちろん

人の暮らしや食べる物

 

路地に遊ぶ子供

安酒場で聞く

土地の言葉

 

どこに行っても

人は生きていて

 

悩み

楽しむ姿に

 

ボウイチは

安堵と安楽を見出す

 

世界が広く

人の姿が様々であればあるほど

 

ボウイチも

世界に居場所があると思った

 

家から飛び出し

心に羽を生やして

 

現実を忘れ

異なる現実に触れる

 

そして今

ボウイチは旅の夢を見る

 

旅を思って

現実から離れる時

 

ボウイチの虚実は

曖昧模糊となって

 

膜の張った朧気な意識の中

心のろうそくを見つめている