来たる夏に

少し前までは
蒲団の中で寒さに震えていたのに

今は生活のどこにも
寒さを感じる機会はない

朝から晩まで
蒸れた空気が身体を取り巻いて
じんわりと汗をかく

草木や昆虫は
寒さより暑さが好きなようで
葉を伸ばし
空を飛んで
大きく多くなっていく

陽射しの強さ
気温の高さ
熱のエネルギーが大気に充ちて
一年の季節で一番の絶頂が今

だが人間は
寒くても暑くても
体力を消耗する生き物だ
夏の暑さの中で活動すると
たちまちエネルギーを奪われて干上がってしまう
バテて動けなくなる
なんとも弱くてだらしない生き物だ

それでも
四六時中
汗をかいているだけで
生命活動を実感し

そこそこサボりながら
暑い暑いと愚痴って
夏の夜を徘徊する楽しさを思うと
人間にとっても
夏はどこか浮かれた季節にみえる