虚空の中のカプセル

世界は広くて
選択肢が多くて

選ぶことに追われて
満たすことに追われて

時間に隙間なく
空間に無駄なく

みっちりと
詰まっている

濃密な時空が
息苦しく

放り投げて
無くしてみると

ガラガラの
虚空

身を置くのすら
不安で

モノのない
寂しさが堪える

何もない
広さ
遠さ
孤独さ

無いから
欲しくなるはずが

無いために
何も要らなくなって

変化から離れ
時も進まず

都会の
鉄骨と
セメントに
囲まれて

生命の世界から
遮られた

人間のつくる
カプセルのなかで

身を守り
広さに怯えている