夏の風よ

夏の風よ

 

昼下がりに

ふと我を思い出させる風よ

 

夕暮れに

暑さを払ってくれる風よ

 

夜明け前

誰も知らぬ間に

秋を運んでくる風よ

 

暑さに火照った体は

お前に身を任せ

 

滴る汗を

とめどなく流す

 

蜻蛉飛ぶ

川のほとりで

 

草木が揺れ

水面が波立つ

 

セミの嵐の中

一人だけ

 

顔に当たる

風の感触が蘇った