雨中訪問

篠突く雨の中を

歩いていた

 

白い息を吐き

指先まで凍えながら

歩いていた

 

死に向かう

人に会うために

 

どこを見渡しても

人っ子一人いない

 

緊急事態宣言の街は

沈黙の風景

 

私の会う人は

音信不通

 

店の前に行き

張り紙を見て

立ち尽くす

 

もう何度

同じことを繰り返したか

 

今日も同じく

無駄骨

 

落胆と喪失にまみれ

踵を返す

 

張り紙は

新しく張り替えられ

休みが延びている

 

休んでいるわけで

死んでいるわけではない

 

また来て

会えるなら良し

 

無駄骨を重ねるも

致し方なし

 

死んでいないことが

分かっただけで

 

無意味ではなかった