場末の酒場にて

暗く

汚い

場末の酒場

 

つけっぱなしの

テレビの声だけが大きく

 

人は皆

下を向いて

酒を啜っている

 

中華鍋を振る音

焦げ臭さ

 

タバコの紫煙

油まみれのダクトに吸い込まれていく

 

一杯

また一杯

 

素性の知れない酒

翌日に頭は痛くなる

 

でも

安酒を飲みたい時がある

 

安くて

駄目な酒を

 

有象無象が蠢く

汚い酒場で

 

汚く

駄目になった己を

慰めるため

 

酔って

酔って

 

駄目な己に

陶酔し

涙を流す

 

そんな快楽を

噛み締めるために

 

場末の酒場は

汚くなければならない