雨の匂い唄

黒い雲が立ち込めて

生暖かい風が吹く

 

しっとり湿った

この大気

 

雨の匂いが

満ちてきて

 

空から

水が溢れそう

 

いよいよ水滴落ちたなら

家路へ急ぐ足も駆け

 

空が破れる寸前の

下でうごめく地の証

 

立ち込めて

降り込めて

 

叩きつける雨音に

土の匂いが上ってくる

 

ぬるい雨よ

季節変わる節に降る雨よ

 

時の匂いを

刻みつけ

 

記憶に

あの時の匂いを

思い起こさせる

 

やがて

雨が上がり

 

差し込む陽射しの下

立ち上がる湯気が

 

光の隙間から

揺れ動き

 

地の潤いと

むせるほどの豊穣を

約束してくれるのだろう