箸はつなぐ
食べ物と口をつなぐ
箸はつなぐ
食べ物を挟めば
二本の間がつながる
二本の棒きれ
ありふれた雑器
毎日
何千回何万回
箸を使わぬ日はなく
箸を要らぬと思ったこともなし
これほど必要とされながら
箸はただの道具であって
交換可能で
決して主役に躍り出ることはない
この潔さ
この軽さ
大事だけれど
大事にされない
箸は決して重みを持ってはならない
これが箸の価値で
どんなに美しくても
豪華でも
実用の範囲から逸脱しない
実直なあり様は
たまに思い出したくなる